2007年6月27日水曜日

『クロスボーダーM&Aの実際と対処法』

(淵邊 善彦)



三角合併の解禁について、外国からの敵対的買収が増える、という議論に対する反論から入っています。これは、私も多いに賛同する意見です。常々、どうしてこんなに経団連まで大騒ぎして三角合併=敵対的買収の脅威、と騒ぎ立てるのか、さっぱり理解できませんでしたので。



でも世の中、脅威論の方が流行るんですよね。実際、仕事上で、「三角合併が解禁になる前に」と焦って買収防衛策を導入しよう!という議論が多くの企業でなされているのを目の当たりに見ているので、これは実感です。議論が落ち着いてきたのは、5月の解禁直前くらいでしょうかね。



その後、M&Aの実務におけるポイントを、法律的な側面を中心に(著者が弁護士なので、投資銀行や会計、IR的な側面が薄いのは致し方ないですね)整理しています。いかにM&Aというものがリスクを伴うものであるか、ということが法務デューデリの実例を交えて記されています。つまり、外国からの敵対的買収に三角合併が使えるほど、クロスボーダーM&Aの現実は甘くない、という冒頭の主張に戻るわけですね。



なかなかよくできた本だと思います。



しかし、この本、シュウゾーとの待ち合わせの喫茶店で読んでいて、シュウゾーが来てからお手洗いに立って戻ってきたところ、ぱらぱらとめくってみたらしいシュウゾーの第一声:



「この本、なにかおもしろいの???」 ←本当に疑問そう



・・・。まぁ、興味の差と言いますか^^;。面白い本ですよ。



2 件のコメント:

あき さんのコメント...

分からない分野の読んでいない本にコメントできませんが、大騒ぎの件に関しては、わかんないからとりあえず大騒ぎすると議論になり、意見も集まるという、普通の(日本人の?)人間心理というか、パターンのようにも見えます。脅威論のほうが方が流行るというのはほんとその通りだなぁと思います。
話題にすらならなかったらそのきこさんの読んだ本も出なかっただろうからねぇ。著者は「大騒ぎした経団連の方々」に謝辞でもつけるべきです(笑:書きたくなかったんなら別です)。
注目すら集まらなければ、法的な抜け道を見つけるのがうまい人はきっとどこの業界にもいるので、逆に危ないのかもしれません。

ぺこ さんのコメント...

そうなんですけどね~、一企業が大騒ぎするのはいいとしても、経団連くらいはちゃんと法令の中身見て、実態も考えた上で物言ってよ!と思っちゃう^^;。
��謝辞でもつけるべきです
たしかに!
この著者、最初っから、三角合併なんてどうでもいいんだと思います。他に主張したいこと(クロスボーダーM&Aの実際)があって、その本を今時点で効果的に売るには、三角合併の話を絡めるのが最適だった、という感じですね~。