2007年6月15日金曜日

『珍妃の井戸』

(浅田次郎)



中国、清朝末期、列国の勢力争いで荒れる中、紫禁城の奥深くで光緒帝の寵妃・珍妃が井戸に投げ込まれて暗殺された。珍妃は何ゆえ、誰の手で殺されたのか。



 



読んでから知ったのですが、これは『蒼穹の昴』の続編なんですね。先に読んじゃったよ^^;。でも、いろんな書評を読んでいると、『蒼穹の昴』の印象が強すぎるらしく、皆さんこちらの評価が低い。そういう意味では、こっちを先に読んだのは意外と正解だったかも。だって、そういう予備知識がなければ十分楽しめる小品です。



英・露・日・独の高官貴族がこの事件を調査して、様々な関係者に証言を聞いていくのですが、その見事なまでの食い違いっぷりが、いい。一人ひとりが語る内容が、ちょっとした物語。普通なら、複数の証言によって真実が浮かび上がるところが、まったく逆、という設定が面白いな、と。で、本当のところはどうなのよ!?という気持ちが増幅されて、一気に読みました。



歴史小説としては、歴史背景の説明が足りないかもしれませんが、それをぐたぐた書いてしまったら、これまた小品としては台無しでしょうし。



というわけで、結構気に入った作品でした。



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