2007年6月13日水曜日

『密やかな結晶』

(小川 洋子)



かなり、びっくりな世界観。



記憶狩りによって、一つずつ、何かが消えていく島。それは、香水であったり、バラの花であったり、、、消滅はある日突然、訪れる。人々は、何を失くしたのかすら、思い出せなくなっていく。そんな島で、何かを失くす小説ばかりを書いている「私」も、一つ一つ、着実に失っていく。



失っていくことを、当然と感じる島の人々。それを見つめる、一握りの「忘れない人」たち。「忘れない人」と接する、忘れる「私」。「私」を引きとめようとする、「忘れない人」。



この対比がすごく意味深。



すごく考えさせられる小説なんだけど、何をどう考えていいのか、よくわからない、というのも正直な感想。そんな自分は、失っていく人、なのかも。



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