2007年6月13日水曜日

『蜻蛉始末』

(北森 鴻)



明治の世、政治との繋がりを足がかりに躍進中の商人・藤田伝三郎は、偽札事件の容疑者として逮捕される。身に覚えのない伝三郎だが、過酷な取調べは続く。そして、取調官の一言で、伝三郎は察する。



「偽札の見分け方は、端の絵柄の蜻蛉の絵。その一匹は、6本あるはずの足が、5本しかないのだそうだ」



 



北森さんの作品、大好きなのですが、今回はいつもと違った趣向。純然たる歴史小説に分類される内容。で、やっぱり好きだな~、この作家さん。



伝三郎と、幼馴染の「とんぼ」の、一言では言い表せないような関係。贋札事件に至る経緯は、少々無理やりかな、という気もするけれど、メインは二人の繋がり方、ですよね。人が人に対して抱く感情というのは、一面的では絶対ないのですよね。



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