2009年1月28日水曜日

『ローマから日本が見える』

��塩野七生)

塩野さんの本を読むのは久しぶり。シュウゾーが面白そう、と買ってきました。

内容は、日本との絡めがとても少ないのが残念。塩野さんはローマの専門家で、日本の政治に詳しいわけではないので、当然といえば当然ですが、題名から想像するよりそこが手薄でした。
「日本は、政治家にもっと任せてみたらどうか」的なことを最終的に書いてますが、それはいかがなものか。つい最近まで何十年も、政治家は結構やりたい放題だったように思いますが(笑)

でも、参考になったことも沢山あります。ローマの政治体制が変遷していく中で、色々な教訓が得られますね。

面白かったのは、共和政時代のローマで、元老院体制という、共和政とは言いながらも、実質的には寡占政治がどうしてうまく機能していたか、と言う点。

当時の元老院は、選挙で選ばれるものの、貴族階級が独占しており、ガチガチの年功序列で運営され、しかも、一度選挙で当選すれば終身であった。一度当選すれば、議員たちは民衆の「評判」を気にすることなく、政策運営をすることができた。

この点、日本の今現在の政治は、人口の多い50代あるいは60代以上の高齢層の間での支持を常に気にしなければならない状況にあるため、当然、その世代の痛みを伴う改革が思い切ってできない状況にあると思うんですよね。そして、今問題になっていることって、ほとんどがそこに端を発している。恐らく、塩野さんもこの点を持って、「もっと政治家に任せてみては」と言っているのでしょう。私もそこはagreeで、「本当に日本にとって全体最適の政策は何か」という視点での政策運営ができるように政治家の環境を整える必要はあるかな、と思います。

ただ、普通に考えて、終身の議員なんて、利権と既得権益の温床ですよね^^;。それが、ローマではなぜうまく機能したのか。それは、ローマがいわゆるノブレス・オブリージュに支えられた社会であり、元老院階級である貴族は、戦争ともなれば先頭を切って第一線に出向き、ローマを守ることを誇りとしていた。当時はローマも拡大期で、常にドンパチやってるので、要するに、元老院議員になっても、どんどん戦闘で死んじゃうんですね^^;。そうして、元老院は、常に構成メンバーが刷新されていく。(ただ、共和制も末期になると、やはり「元老院階級」が固定化され、腐敗していくそうです)

さて、では、ここから得られる現代日本へのインプリケーションは?
うーむ。民衆の評価を気にさせず、なおかつ、議会の新陳代謝を損なわない制度。。。うーむ。

2 件のコメント:

あき さんのコメント...

方法論をごねても結局いろいろ言い訳していつのまにか失敗しているところが、ダイエットと良く似ているような気もする。
考えてみれば国民からみてお金の収支はカロリーの収支と同じなのかな。やせるのはつらい。そんな政策そうそう支持できない。でもアメリカ式な治療ではいけません。少なくとも指導してる者が太ってたらいけませんね。ノブレス・オブリージュ(?)。
>民衆からの評価を気にさせない
政治家自身が、高い評価を得られる政策を提言して、国民を説得させる素養(知力でも威厳でも技術でも)があれば別に気にせんでもいいでしょう。50歳・60歳が、そういうことなら喜んで負担します、というような政策を立てる、というのが本当の仕事かと。
>議会の新陳代謝を損なわない
仕事しなかったらクビ~にすればいいんでは?国会を空転させてお亡くなりになった議員もたくさんいますが、熱意空周り系の人はおいといて、この場合の「仕事」は、国会に出席する、国会中に寝ない、とか程度の低い内容でも十分。カードもって出席のハンコでも集めたらどうかと。nobleな人たちのすることじゃないか?

ぺこ さんのコメント...

>ノブレス・オブリージュ(?)
思わず笑ってしまいました。でも確かにそうですよね^^
��高い評価を得られる政策を提言して、国民を説得させる素養
そりゃ、政治家に素養を求めすぎと同時に、国民に公正な判断を期待しすぎでは^^;
現実問題として、そういう素養のある政治家がいない中で、どうにかしなくちゃならないのであれば、多少能力が劣る政治家でも、力を最大限発揮できるように体制をととのえるしかないかな、と。
そして、どんなに合理的で、日本国の未来のためにそれが良いことだと分かっていても、自分にとって負担が増えるなら、総論OK各論NO、そんで、結果的にNO。それが民衆ってものかと。
私、悲観論すぎますかね^^;
��カードもって出席のハンコ
夏休みのラジオ体操みたい(笑)
でも「一回でも居眠りしたらクビ」てしたら、すごい勢いで新陳代謝しちゃったりしてっ[E:smile]