(宮部みゆき)
PS2のゲーム『ICO』を元にした小説。
その村に、何十年かに一度生まれる、小さな角の生えた子供。成長したイコの角が水牛のように伸びたとき、彼は霧の城へ生贄として差し出された。
霧の城で鳥かごに囚われていた少女ヨルダとともに、イコは城を逃れようとする。ヨルダの手を取ると流れ込む城の記憶、城の中に立つ角の生えた騎士の彫像、、、この城は何なのか?騎士とイコの関係は?なぜ生贄が求められるのか?ヨルダはなぜここに?
二人の行く手には、黒い影が現れ、ヨルダを捉えようとする。そして、霧の城の女王は、ヨルダを娘、と呼んだ。
ゲームのICOをシュウゾーがやっていて、ものすごくステキな絵に感動しました。
小説は、ICOを題材にしており、共通する部分も多いですが、かなりオリジナルエピソードも多いです。
著者も、ゲームの城の雰囲気が好きだったんだろうなぁ~、と思います。小説でもその雰囲気を再現しようと、情景描写が長くなりすぎてしまってます。恐らく、普通に読むと結構苦痛かと。でも、私は著者のその気持ちに共感!ということで、それほど気にはならなかったですけど(というより、ゲームの絵をイメージしてたので、情景描写はあまり真剣に読んでいない^^;)。
ストーリーは、これまた原作のヨルダが儚げで、抜群なキャラクタだったので、小説のヨルダの過去のエピソードは私はちょっと苦手です。普通の女の子すぎてしまって、神秘性がゼロ。ちなみに、著者はいつも、女性よりも男性の方が描くのがうまい気がします。
でも、なぜ生贄がささげられるのか、とか、影の行動とか、女王の発言などのストーリー全体の料理の仕方はさすが!と言う感じ。特に、生贄の歴史の真相は「おぉ!」と思いました。
人が、人を生贄として捧げるということの意味って、きっとこういう側面をいつも含んでいるのかもしれない、って思いました。(これ以上書くとネタバレだな^^;)
(講談社)
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