2008年2月19日火曜日

『小さな政府の落とし穴』

��井堀利宏 著)

最近でこそ増税の議論がだいぶ出てきましたが、小泉/阿部内閣の頃は、「歳出削減」「経済成長」による財政再建論がとられていました。

この本はそれに対して書かれたもので、「歳出削減」で財政再建ができるほど、現状は甘くない、という論旨ですね。

��実は、昨年半ば頃に読み始めたのですが、妊娠・出産による思考力、視力、集中力の劇的な低下により、読むのを中断。最近になってやっと読み終わったので、少々旬をすぎてしまいました^^;)

日本の人口動態を考えると、財政再建はまさに待ったナシの状態。削減対象として議論される「公共事業」「人件費」は、これ以上の削減は現実的でない。それが短期間に行わなければならない削減であればなおさら。では、経済成長によって税収が増えたら、本当に財政は再建されるか?既に膨大な債務を負っている政府は、経済が成長すればその分債務利子負担が増大するだけで、実は大きな効果は得られない。


まったくもって、その通りだと思います。
何故に、「成長路線」なんてものが支持を得られるのか、私にはサッパリ分からない。しかも、成長できるかどうかの不確実性がこんなにも高い状況で、それだけに国家財政をゆだねて良いわけがない。(成長路線を捨てろ、と言っているわけではないです)

確かに、安易な増税は歳出削減の努力を削ぐ、という問題はあると思います。けれど、だからと言って増税しないってのは本末転倒でしょう。目標は、財政再建であって、歳出削減は手段でしかないはずなのに、目的化してしまっている感があります。何年もかかって歳出削減をしたとしても、その頃に財政が更に悪化していたら元も子もないですからねぇ。
そして、なによりも、歳出削減が最終的にどの程度可能なのか、ということがぼやかされていることが問題だと思うのですが。恐らく、社会保障給付、本当に必要な公共事業および公的サービスとそれに伴う人件費等を残した削減額では、財政悪化は止まらないでしょう(多分、プライマリーバランスゼロ、程度の効果しかないんじゃないかな)。これは、私の感覚的意見なので、数値的根拠はまた勉強しなくちゃ、です。
しかも、歳出の最大費目であるは社会保障給付であり、今後これは更に大きくなっていくわけで、そこんとこを甘くみちゃいかんでしょ。

とにかく、現役世代半ばの私としては、「とにかく早くしろ!」ですね。先送りすればするほど、勝ち逃げする高齢層が増える。そして、私たちの負担は増える。あなおそろしや。

4 件のコメント:

あき さんのコメント...

小泉政権が支持された理由は(一度も彼を支持したことがない私が言うのもなんですが)「なんとなくencourageしてくれる」ではないかと思います。不景気になると昔からあるパターンで。「国にカネがないから消費税増税します。将来のためです。」といわれても、「今消費する金がねーよ」とツッコムだけ。まぁ、仕方無かったんでは?
将来に向けて歳出削減を先に進めつつ、空気を読んで増減税するしかないのでは。結局バランスの問題で。でも消費税上げは見るからに30~50歳代を直撃して、海外を飛び回っている裕福なご老人からはお金を取れず、病気で苦しいご老人(とその家族)の生活を困窮させるんではないですか(イメージです)?
歳出削減の効果は低いとか、限界がよくわからないとか、増税しないとお金が足りないとか、おっしゃるとおりだと思いますけど。しかし歳出削減では再建できないと私も思いますが、少なくとも悪い話ではないし、将来に長きに渡れば意味があるし、増税でも再建できないと思います(理由は歳出削減をやめちゃうから・何かの減税や緊急歳出に使われてしまうから・・・増税しない理由には確かにならんのですが)。。
破綻って、いつなんですか???どうなるんですか???誰が決めるんですか???

ぺこ さんのコメント...

確かに、小泉さんは別の面で支持されていたので、仕方ない、ですねぇ。
��空気を読んで増減税
そうそう、バランスの問題なんですよね~。
ほんと、どうしてゼロか100か、って話になっちゃうんでしょう。やっぱり、「バランス良く」は政策のお題目としてインパクトが弱いんだろうな・・・。
消費税、確かに、退職世代がこぞって海外へ出て、受給資格がある年金はしっかりもらいつつ、消費税は払わない、となるとイタタですね~。まさに勝ち逃げ^^;。
そういえば数週間前日経に、北畑次官の誤算、っていう記事が載ってましたね。このかた、経産省で20年ほど前に「シルバーコロンビア計画を立案した人で、「退職したら、言いだしっぺなら当然スペイン移住だよね!?」と同僚達に言われて、円安の今、気の毒に~、てな記事でした(笑)
��破綻はいつなのか、どうなるのか、誰が決めるのか
国家の破綻て、イメージしにくいですよね。別に国家がなくても自分達は生きているわけですしね^^。
まず、破綻で考えられるパターンは、デフォルト(債務不履行)ですね。今、日本は過去に借金した金とその利子を払うために、借金の借り換えをし、更に追加の借金も発生している、という状態です。もし、借金」ができなくなったら、昔の借金や利子を返せなくなります=デフォルト。デフォルトを起こせば、国債はただの紙切れになります。つまり、国内で800兆円の資産が霧散します。(ちなみに、国債を保有しているのは日本の金融機関、ひいては、そこに預金をしている一般国民の貯蓄です。)
国民生活への影響としては、まず銀行預金下ろせなくなるかな?そして、超円安、超インフレにより、国民の預貯金の価値が激減するといわれます。外貨に対して著しく価値を損ないますので、輸入品の国内価格は高騰。日本の輸入依存度を考えれば、恐ろしいことでしょう。
じゃ、デフォルトには本当になるのか?
今、国債のほとんどが国内の金融機関によって保有されています。彼らの資産に占める国債の割合は極めて高い水準。このままのペースで債務が増えると、10年~20年でキャパを超えるとも言われています。すると、国債の消化能力が減る→高金利での調達が必要(高金利でないと誰も国債を買ってくれなくなる)→財政の金利負担は更に上昇。国債金利が一旦上がり始めると、国債のリスクも高まるので、相乗的に金利は高くなりますね。たとえデフォルトに陥らなくても、この流れが進めば既に円安・インフレに陥っているでしょう。もしくは、国債消化のために日銀がお金刷って、吸収。この場合も、やはり同様にインフレ、円安、となりますね。
��上記、私が知る限りで書いてます。大きく間違ってはいないと思うのですが・・・)
果たして本当に破綻するのかは知りませんが、、、やっぱり財政赤字は減らさないといけないんじゃないかなぁ・・・

あき さんのコメント...

わかりやすい解説でした。Thanx。多分高校あたりで一回習ってるんでしょうけど・・・つまり、10年~20年というのがひとつの目安なんですね(お金の話ではこういう数字が結構重要だと思うのですが)。それにしても、その解説でいくと、どこまでも金利を上げない、というのも選択肢であるように見えます。金利を上げるって、なんだか消費者金融に借りに行くみたいじゃないですか。金利って、経済活動のスピードを規定しているだけのように思えます。あげれば破綻へのスピードが高まるというか。貧困(=サービス低下?)でもチビチビと返していくほうがいい気がします。どうせなら自衛隊のミサイルを削って(対効果が高そう)。
素人から見ると、借金は借金であって収入でも資産でもないと思うので、収支バランスはとっくに破綻していて、経済の用語ではない「信用(というか期待感)」だけで投資されて成り立っているようにも思えます。そういう意味では、守るべきは「信用」で、金融機関のキャパが増えればいい、ということのようにも見えます。そこが多分不透明。でも病気と同じで余命を明らかにするメリットとデメリットがありそうですね(メリットの方が最終的には大きいと思いますが、結局空気を読むべきですね・・・)。
ところで一番の歳出削減は、年度末の今の時期、予算が余ったからといって使わない、ということのような気がします。

ぺこ さんのコメント...

キャパの年限は今後の金利動向で大きく変わるでしょうね。
金利が上がれば国債金利も上がりますが、キャパが少なくなったり国債のリスクが高まれば、金利が上がらなくても国債金利は上がってしまいます。 今現在でも日本の国債のリスクは、米国や西欧/北欧などの先進国の国債に比べて、高いとされています。にもかかわらず、それらの国よりも国債金利が低く抑えられているのは、金利の低さと同時に、国債を消化する能力を国内の金融機関が持っていたからでしょう。 しかし、国内金融機関の国債消化能力を支えてきたのは、団塊世代を中心とした日本国民の高い貯蓄性向です。当然、今後この貯蓄は切り崩されて行くことが予想されますので、キャパは減りこそすれ増えることはないと思われますね〜。
成長路線が成功すれば金利があがって財政問題は結局解決しない、なんて話もあり、もう本当に八方ふさがりじゃん!と暗い気分になります^^;、
ちなみに、「信用」は立派な経済用語ですよ^^。金融機関からの貸し付けも、商取引上の掛け売り/掛け買いも、クレジットカードも、皆信用取り引きです。
��予算が余ったからといって使わない
ほんと、そうですよね^^
でも、いつの頃からか、年度末の道路工事って減ったような??気のせいかな。