2006年8月29日火曜日

『海辺のカフカ』

村上春樹



「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」。
15歳の誕生日に父から逃れるように家を出た少年は、高松の私設図書館の片隅で暮らすようになる。


読み終えたものの、消化不良のようです。



細部のエピソードは面白く引力があるし、登場人物、特に「大島さん」の言葉は哲学的で、リズム感があって、美しい。けれど、全体としては何が言いたいのか?ファンタジーとしてすらストーリーが成り立っているとは言い難いように思います。



ただ、そこが村上春樹さんの良さなのかな、とも。



全文を通して「メタファ」という言葉がよく出てきます。万物はメタファである。
ここからして、私にはアウト。メタファと言われれば、それが指し示すものがないとおかしいではないか、と思ってしまい、それを考えてしまう。そして、いくら読んでもそれがあるようには思えないのでした。本当に村上氏の中では、この本に出てくる膨大で複雑に絡み合うメタファ全てに具象があり、ツジツマがあっているのでしょうか。



(こういうことを考えてしまう時点で、私は村上氏の作品に向いていないのかもしれない・・・)



山奥で、自然に囲まれた少年の描写は、とっても好きでした。



2 件のコメント:

Todo23 さんのコメント...

私も先日読みました。似たような感想ですね。
”また全体にファンタジー仕立てなので、不可思議があるのは何も問題が無いのですが、それにしても結局あれは何だったのだろうと思わせるものが数多く残ります。”
”細部で楽しめたけど、全体では掴みきれない。そんな感じの本でした。”
ソックリでしょ。

ぺこ さんのコメント...

わ、本当にソックリですね!
・・・真似したわけじゃないですよ(笑)
そう、「結局あれは何だったの」は、かなり思いました。でも、どうやらそれを考えてはいけないようです、村上作品。
amazonのブックレビューを見ていて、ナルホドと思ったコメントがありました。「村上春樹の小説はリアリストの人や、全てが理屈で説明できないと納得が出来ない人にはオススメできない」
↑の私の感想、まさしくそういう人ですよね^^;