2009年2月23日月曜日

『草原からの使者 沙高楼綺譚』

(浅田次郎)



『沙高楼綺譚』の続編。



名士たちが集う秘密サロン「沙高楼(さこうろう)」で、



「今宵もみなさまがご自分の名誉のために、また、ひとつしかないお命のために、けっして口になさることのできなかった貴重なご経験を、心ゆくまでお話しくださいまし。語られる方は誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢にも他言なさいますな。あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです」



という女主人の決まり文句の後に語られる秘話の数々。



議員秘書が、当確と目された議員がなぜ総理の座を逃したかを語る「宰相の器」



父から、お前は勝手に生きろよ、と遺言された大財閥の御曹司が倫敦の老舗カジノで亡き祖父の足跡に触れる「終身名誉会員」



退役軍人の倦んだ日常の中で、祖国や妻・恋人への思いを、少々おふざけを交えて描いた「星条旗よ永遠なれ」



いずれも、面白いのですが、ちょっと現実離れ感が強すぎた気がします。前作が、とっても面白かったので、続編が文庫化されているのを見つけて即座に手に取ったのですが、ちょっと残念だったかな。前のは綺譚という題名がぴったりの、少し怪しげで不思議だけど、こんなこともあるかも(いや、ナイナイ)という雰囲気が絶妙だったのですが。



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