2007年7月11日水曜日

『とてつもない日本』

(麻生太郎)



外相が書いたというよりは、次期首相?が書く、てことで売れているんでしょうね。



読み物としては、面白い面もある(内容薄いけど)けど、政治家の書いたものとしては、はっきり言って零点だな。。。^^;



要するに、「皆、日本はダメだ、ダメだ、ってネガティブなことばっかり言うけど、そんなことはない!日本は素晴らしい国だし、将来だって暗くない!」ということをひたすら言っている。これ自体は、私も賛成。私は日本は、素晴らしく安全で、豊かで、自由で平等な、住みやすい国だと思っている(相対的にね)。ただ、具体例としてあげている内容については、政治家の意見としては全く評価できない。



例えば高齢化問題について。高齢化と言うと、皆老人ばかりの暗い世の中を想像するようだが、今の60代以上は元気で活力も経済力もあり、明るい将来を描ける、というような趣旨だ。けれど、高齢化を控えて暗い気分になっているのは、60代ではなく若い世代だ。そして、若い世代は、高齢者が楽しい老後を過ごせるかを心配しているわけではない。問題は、「自分達にどれだけの負荷がかかるか」、これに尽きる。



もちろん、これからの高齢者は元気だから、死ぬまで働いてもらって(その際はもちろん年功序列はとっぱらって、若い世代と同列の評価で。でないと若い世代の収入を圧迫する構図が続くだけだ)、自分の老後資金と医療費は稼いでもらって、若い世代には負担がいかないような日本を作る!と政治家として施策を示すなら、大いに賛同、大喝采である。



私は、正直言って、今の老齢世代の年金が削られることに対して、一切同情していない。がんがん削って、生活が立ち行かない人だけ生活保護で救済すればいいと思っている。なぜなら、高齢化が進んで年金財政が大変なことになることは、もう何十年も前から分かっていたにも関わらず、賦課方式に甘え、納付を増やすことでの積み立て方式への比重変更という自己負担を一切しなかった世代だからだ。したがって、彼らが「今まで年金を真面目に払ってきたのに、今になって給付を減らすなんて!」と言うのは全くのオカド違いである。「真面目に払う」ことと、「十分な金額を払う」ことは違う。



ま、そんなわけで、麻生さんの意見は「近所のおっさんのおしゃべり」。元気な老後を過ごそうじゃないか!というなら、どうぞご自由に。それは政治の問題ではない。



後ろの方で靖国問題について触れているが、議論が「いかに靖国の財政基盤を安定させ、存続させるか」ということにすり替わっており、中韓への対応をどうすべきかに一切触れられていない。一言、外国にうんぬんされるべきことではない、と言っているだけで、じゃぁ具体的な外交姿勢として、外国の意見は無視し通すべきなのか、それとも一定の配慮をすべきなのか、すら明確でない。麻生さんの言う靖国の特殊法人化では、外交問題に発展してしまっている靖国はなんら解決しない。これまた議論のすり替えである。これなら、本書の中でこの問題に触れないほうがまだマシだろう。



外交問題について、日本がどれだけアジアを中心とした諸外国の発展に寄与してきたか、もっと日本人は知るべきだし、自信を持ってよい、というのは確かにそうだと思う。





4 件のコメント:

あき さんのコメント...

麻生太郎・・・立候補しているということ以外に首相候補な理由が見当たらない・・・。
日本が素晴らしいかどうかは言われて納得することでもないよなぁ。
年金は、国家の詐欺だと思う。すべて自己責任で片付けられるほど日本国民は賢くもないと思う。きこさんみたいに私ら一般人は年金のことを理解してないと思いますぞ。「ちょっと払えば老後が安心」と言われて、「破綻する」って報道があったって、年金の窓口に聞いたら「大丈夫」っていうわけだから、詐欺だねぃ。こっちが払った年金を運用して無駄遣いせずお金を増やして還元するのは国の仕事だったわけで、高齢者の仕事ではなかったはずだ(現実には税金使ってる・・・)。それをチェックしてなかった国民の責任と言えば責任か。
生活保護が増えると、私のボランティアの書類仕事が増える(笑)。他にもいろいろ人・時間・金のコストが、保護する人に渡す金以外にかかるので、相当変えないときこさんの言うようにはならないかなぁ。
アジアに貢献した話は、私はあまり知らんので知るべきかもしれないけど、政治家は、だったらなんで一部の国にしつこく攻撃されてて認めてもらえないのか、はっきりさせて(はっきりしてるか)解決するのが仕事だと思うな。そしたらみんな自信もてと言われなくても自信持つんじゃないか?
読んでない本の感想を書いてしまったワ。

ぺこ さんのコメント...

��首相候補な理由
このところの首相にないガハハなところ、とか?(笑)
国民の多くが「日本て素晴らしい」て思うようになるにはどうしたらいいんでしょうね。ていうか、そもそも、本当にそんなに多くの国民が「日本はダメだ」って思っているのか?とも思いますが^^。
年金、確かに国の責任とも言えるのですが、何十年も前から「今のうちになんとかしないと」ということを言っていた議員(または立候補者)はいて、でもそれを言うと選挙で負けるとうい事実があったわけで、やっぱり国民の責任だと思います。それが民主主義の根本でしょう。それを国家の責任といいたいなら専制君主制にでもなってちょうだい、と。民主主義という「権利」を得る以上は、「責任」も当然、全て国民に帰属するし、そんなところで国民を甘やかす必要はないと思う。
で、責任を誰が負担するの?という段で、今は若手の「負担が重い」という声よりも、高齢世代の「給付を減らすな」の方が圧倒的に声がでかいわけです。人数多いですからね^^;。若い世代が負担をしなくていいとは思っていません。そういう国の、そういう世代に生まれてしまったのだから、仕方ない^^;。ただ、「給付を減らすな=若い世代が全部負担すればいいだろ」と言っている高齢世代に対して、若い世代が素直に「あなた達も大変だものね」と言ってやる必要はない、と思っているわけです。
��生活保護が増えると、私のボランティアの書類仕事が増える(笑)。
そんなところに実害が(笑)
��なんで一部の国にしつこく攻撃されてて認めてもらえないのか
まぁ、日本に感謝してくれている国が、「弱小国ばかりだから」というのが一番大きい理由でしょうね^^;。よりによって一番日本が危害を加えてしまった2国が、経済大国になっちゃって、声がでかい、と。

あき さんのコメント...

だいたいごもっともなんですが、いくら年寄りが多いと言っても、若者の投票率が低くてますます意見が反映されない状況を自ら作り出しているということは注目すべき。その意味では若者の方が権利を行使してない。投票したけど人数で負けているというだけでもっともな意見が通らない、というならリーズナブル。そういう意味でも投票に行こうとは思います。誰にいれよう・・・。
もっとも、もっとなぁなぁで済ませたい、というのが本音ですが。もっとみんなに金くれればいいのに、というのは経済の専門家から見たら間違っているんでしょうけど。
選挙を理由に年金のことを言わずに当選してきた議員は非国民ですね(落選した議員が言ったわけでもなさそうですが)。論外です。

ぺこ さんのコメント...

若い世代が選挙に興味ないのは本当に問題ですよね~。
しかし、本当に、誰に入れようか困ります。
��もっとみんなに金くれればいいのに
ぶはっ(T▽T)。
でもそれが誰しもの本音ですよね~( ̄ー ̄)
��選挙を理由に年金のことを言わずに当選してきた議員は
今(まで)の議員全員?!(笑)
今回の選挙でも、年金の議論が不明部分をどうするか、って話に偏ってしまっているのは問題ですね~。その部分は、できる限り判明させて払わなくちゃいけない、っていうのが当然で、議論の余地はないし、自民でも民主でもできることは同じだと思うのですよね。
本来議論されなくてはいけない、年金財源のことが影に隠れてしまっているのが本当に問題!なまじっか、今は経済の状況がよくて、税収も増加傾向にあるから、議員さんたちも「あわよくば、ほとんど増税せずに財源確保!?」とかいう淡い夢を抱いているのだろうか・・・^^;。ちらほら消費税の話が出ていますが、もうちょっとそこを盛り上げてくれないかな、マスコミも。
つーか、とりあえず参議院なくしちゃえば?って思ってるんですけどね、個人的には~。で、歳出削減できた分全部年金財源へ(T▽T)