(赤川 次郎)
米国の戦争(恐らくベトナム?)を後押ししてきた元総理大臣。ジャーナリストにかかる、黒い圧力。教育委員にへつらい、形だけの情操教育を施すフリをする教師と教室の正義に目覚めてしまった少年。など、政治や社会への風刺をこめた、短編集。
なんとなく、表紙の雰囲気からして、赤川次郎さんぽくないなぁ、と思って手に取りました。そしたら、案の定、いつものユーモアミステリーとは違う味の短編たち。暗い話ばかりで、自分とは全然立場の違う人たちの話なのだけれど、身につまされるものがあるというか。全然違う人格なのに、その分かりやすさ、彼らの動機のシンプルさから、自分もこの人たちと同じになる要素がある、っていうのをすごく感じるんですよね。しかも、そこは赤川次郎さんの持ち味で、分かりやすい個性なのだけど陳腐でない。
最後の、主人公である作家の作品を拠り所に復讐を正当化した殺人が起こる話が一番好きかな。
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