2007年2月16日金曜日

『家守綺譚』

(梨木香歩)



もの書きの綿貫は、昔になくなった親友の父から、空家になる家に住んで欲しいと頼まれる。庭付き、池付きの二階家で、百日紅に恋心を抱かれ、飼い犬は流れてきた河童に慕われたり、狐狸にだまされるかと思いきや、お仲間として付け届けがあったりなぞ。



これはいいですね~。四季折々の風物の中で、綿貫が家そのものみたいに溶け込んでいるの。



色々と起こる怪異について、綿貫が驚いてはいるのだけれど、なんとなくそういうもんかな、と受け入れてしまっている感じが、とても柔らかくて好き。亡くなった親友の高堂が、床の間の掛け軸からボートを漕いで出てきた(!)のに、普通に、よぉ、みたいな挨拶してるし。怪異だけでなく、家の中で踏み抜いてしまった床から生えてきた蔦を、そのまま放っておいてしまう心情が、温かく感じました。



今の生活や常識の型にバッチリはまって、季節感さえも教科書的にしか感じられない自分が、ちょっと寂しいな、と思いました。週末にお散歩をしよう。



そういえば、最近梅の花が綺麗ですね♪



4 件のコメント:

Todo23 さんのコメント...

私も最近読みました。
ショートショートの一篇一篇が絵画のようで、画集のような物語。そんな印象を持ちましたよ。
今のところ、今年の最高かな。

シュウゾー さんのコメント...


“画集のような物語”という響きにとても惹かれました。
最近、専門書漬けで味気ないので、他の本が読みたい欲がうずうずしていました。最優先で読んでみることにしよう。

Todo23 さんのコメント...

ららら・・・・
シュウゾーさんからresがつくとは思わなかった(笑)

ぺこ さんのコメント...

Todo23さまこんにちは♪
読まれてましたか~、かなり雰囲気のいい作品ですよね。
私もかなり気に入っていて、シュウゾーにも勧めているのですよ~。
シュウゾー、私が勧めても読む気にならなくても、にいさまに勧められると読む気になるらしい(T▽T)。
やっぱり、本の感想を述べる力量の差か┐( -"-)┌