2008年10月1日水曜日

『ユージニア』

(恩田陸 角川文庫)



北陸のある町で、名家の祝いの席を襲った大量毒殺事件。あの夏から数十年が経った今、事件の関係者たちの証言が物語る真相とは何なのか。



現場に居合わせた近所の少年、少女。毒を飲みながら命をつなぎとめた元家政婦。事件を追っていた刑事。そして、一家の唯一の生き残りである盲目の美少女。



作品での現在、誰かが事件のことを聞いて回っているという設定ですが、それ以前に、事件の10年後に、現場に居合わせた近所の少女が、この事件のことを調べて本にしていて、「彼女にとっての真相」や彼女が本に込めた意図というものが、「事件の事実」とされているものとはまた別に存在する、という多重構造が面白いですね。



いかにも恩田さん、ていう作品だと思いました。



章ごとばかりか節によっても語り手が切り替わったり、第三者視点になったりして、ある意味読みにくいのですが、それが「パズル」的な好奇心を刺激してくれて、どんどん読み進んでしまいます。



ただ、恩田さんの作品て、いつも思うのですが、最初「おぉぉ。どうなるんだ!?」と、のめりこんで、「これは面白い~!!」て思うのに、なぜか読み終わると、「ふむ。」ってなっちゃうんですよね^^;。面白くないというのではなくて。



伏線も多いし、多分読み落としとか消化できてないところがたくさんあるので、もう一度最初から目を通してみるといいのかも。



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