2008年9月30日火曜日

『幕末』

��司馬遼太郎 文春文庫)

幕末を、暗殺という切り口で描いた連作短編集。始まりは定番の桜田門外の変。

反幕の暗殺者側の視点で描いているのですが、次第に尊王、攘夷といった思想が変質していき、志士もただただ乱世の雰囲気に踊らされていく様子がうまく書かれていると思います。小説的文脈と、歴史上記録の残っている内容等の挿話のバランスがウマいよなぁ、さすが大作家だよなぁ、と思います。

私ははっきり言って、日本史音痴です。シュウゾーに笑われるほど。
しかも、幕末以降って、学校の授業でたいてい時間がなくなってやらないので、興味を持って本とか自分で読まない限り、結構知らないものじゃないですか?(私だけ?)で、私はもっぱら西洋の小説ばっかり読んで大人になってしまったので、本当にこの辺りって知らないんです。

そんなわけで、『幕末』を読みながら、シュウゾーに、「ねぇ、長州と会津ってどこにあんの?」と聞く始末(恥)。シュウゾーに、そんなもん学校で習わなくたって、いろんなとこで見聞きして、自然と知っているだろう!?と呆れられましたが、幕末を語る文脈では、長州は長州であって、「今のどこどこ県」なんてことは誰も説明してくれないわけですよ(笑)。それこそ見聞きする中で「長州は、どうやら京都より西にあって、九州ではないらしい」「会津は、どうやら江戸の北方向にあるもよう」ということは分かっても、正確な位置を知らんかったんです^^;
ちなみに、私は大学受験はれっきとした日本史選択です。でもね、試験の論述でも「長州」て書けば済んじゃうのよん(笑)

まぁ、そんな程度の知識しかない私が、この『幕末』を読むと、当然、司馬遼太郎が書きたいイメージ通りに受け取るわけですよね。先入観、全然ないですから。
で、私が受け取ったイメージは、、、、
「明治政府まで生き残ってる連中って、どうしようもなくない・・・?」
まともに理念持っていた人はみーんな死んじゃって、深くも考えずに「天誅!」とか叫んでる血気盛んな若者が生き残って、大臣とかになっちゃった、ていう。

あとがきで、著者は「暗殺は絶対に許されない」と力説しているので、自然と人物描写も辛辣になっているのかと。


2 件のコメント:

Todo23 さんのコメント...

>」「会津は、どうやら江戸の北方向にあるもよう」
まあ、司馬さんによれば、幕末の志士達も「かいず(会津)ってどこだ?」なんて言ってたそうですからね(笑)
ちなみに長州(山口)は歴代総理大臣を8人も輩出しており、群を抜いてTopです。
平成の今だ薩長政府は続いております。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5237.html

ぺこ さんのコメント...

ナイスなフォローをありがとうございます(笑)
総理の県別数字、面白いですね。まぁ親族間の基盤の継承、権力の集中を考えれば、同じところから首相が出続けるのも道理ですよね。阿部さんで途切れないのかが、見ものです^^